
女刑事姫川玲子シリーズの第二段である『ソウルケイジ』の小説感想を書いていきたいと思います!!
第一弾の『ストロベリーナイト』とは残虐な殺人鬼が印象的でしたが、
今回の『ソウルケイジ』はマイルドな内容になっていて読みやすいかなと感じました。
殺人の動機や犯人に涙した人も多いのではないでしょうか?
それではネタバレ有りで感想を詳しく書いていきます!!
【書評】ソウルケイジの感想!!
主人公は姫川ではなく、日下??
今回の『ソウルケイジ』では第十係もう一人の班長である日下がピックアップされています。
彼は姫川とは違い捜査にいわゆる”刑事の勘”を介入することを嫌い、操作手順に沿って確実に送検することをモットーとしています。
姫川はもちろんそんな日下が苦手で、過去の事件の犯人との顔立ちの共通点からも嫌いだと思っています。
そして『ストロベリーナイト』で大活躍の勝俣は出てきません笑
日下の過去編でちょっと登場します。が、もちろん最悪エピソードです笑(どんだけヤな奴なんだよ)
そして満を持して菊田君は活躍・・・しません。
いつになったら活躍するね~ん!!
そんな日下と姫川が遺体無き殺人事件に挑むのが今回の『ソウルケイジ』です。
伏線回収が秀逸!!
前作の『ストロベリーナイト』で感じたのですが、このシリーズはなんせ余談が多いです。
ストロベリーナイトの感想ではこれだけページあって内容これだけ!?っていう感想も見受けられました、、、
しかし今回の『ソウルケイジ』では余談が伏線になるケースがほとんどです。
うっすら頭に残っていた出来事がここで繋がるのか!!とストロベリーナイトにはなかったような伏線回収を披露しています!!
事件を推理するという意味合いにおいては、個人的には『ストロベリーナイト』よりも確実に面白いです。
死体無き殺人事件の犯人の人間味
ここからは完全なネタバレになります・・・
今回の殺人事件の犯人は被害者だと思われていた高岡です。
初日に事情聴取したホームレスが高岡だったという結末なのですが、ここが面白かったです。
200万渡して買い取ったというところで思い出したのですが、途中ホームレスが潤うという話をひょいっと入れてありこういうことかと納得しました。
まぁあそこで伏線だって気がつける人はなかなかいないんじゃないかな?(いやそう信じよう)
そして事件解決の5日前程度に亡くなっているのです。
もし、もし何かが速く発見できたり気がついていれば高岡は死ななくても良かったのではって思ってしまっていたということは、、、
完全に犯人である高岡の思いに心打たれていたっていう証拠ですよね。
その理由は後述します。
玲子も日下も共感できる部分があることを認めています。
それほどまでに犯人である高岡という人物が良い奴?というか人間味あふれる人物であったことが分かります。
快楽犯ではなくこういう自分を犠牲にする美談の方が個人的には好きっていうだけなのでしょうかね?
犯罪者・高岡を動かしたのは「父性」
高岡は2人の息子を救うために行動していた、小説でも彼を突き動かしていたのは常に、彼の中にある強烈な「父性」であったはずだ。と表現されている。
玲子もまた高岡(内藤)の行為をこう表現しています。
目をつぶって見逃すことは到底できない。だが、それを罪だと突き放すことも、また玲子には出来ない。
なぜなら、玲子自身が、罪人だからー。
法を犯したのとは違う。だが、殺意を自身の中に棲まわせている。そういう罪がある。自分を犯したあの男をこの手で殺したい。自分の部下を殺したあいつを亡き者にしたい。心のどこかで、そう思い続けている。
高岡のやったことを許せるものではないが殺意を決意した高岡の描写には共感と言えるまでの気持ちが存在する人がいたのではないでしょうか?
誰もが怒りの感情を持ち合わせていると思う。
でも普通の人間は一歩踏みとどまることが出来る。
なんだか犯罪者と呼ばれる人との境目というか境界線がこれほどまでに薄いのかと恐怖しました。
父親と呼ばれる男の存在の大きさ
事件を終えて日下は、その行動に同情すべき点や理解できる点はあるが共感は出来ないと言う。
「子供は、見ていないようでいて、親の姿を、じっと見ているものだ。やはり、子供に言い訳できないような、見せたくないような行いは、子がその場にいるいないに拘らず、すべきではないだろうな。子供を真っ直ぐ育てたいなら、自分が真っ直ぐ生きるべきだし、子供が自立した生き方をさせたかったら、まずは自分が自立した姿を示すべきだろう・・・
このストーリーがあったからこその大きな名言となりました。
まだ私は父親になってないけど、明日からいや今日からまた生き方を見つめなおそうと思いました。
【書評】ソウルケイジの感想!!まとめ
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
個人的には伏線の回収がスムーズなのが素晴らしかったです。
そして感動??のラストが待っていて悲しい気持ちと同時に自分の人生も見つめなおすきっかけになりました。
推理小説好きは是非『女刑事姫川玲子シリーズ』を読んでみて下さい!!